「どこから来たの?」


乗務員室(休憩室)でご一緒した、
神戸のバスガイドのKさんにお聞きした話です。

昨年の春
中国自動車道の某SAの駐車場でのこと。

「うぅ〜ん、いい天気ぃ〜〜」

レストハウスに向かって歩きながら大きく伸びをしていると

「お姉ちゃん、お姉ちゃん」

・・・と声をかけられたんです。
見ると、5〜6才位の女の子がクマのぬいぐるみを抱いて立っています。

「うん? 何かなぁ〜?」

「えとね、お姉ちゃん、どこから来たの?」

「神戸だよ」

「ユカちゃんも神戸から来たの」

「そっかぁ〜、お姉ちゃんと一緒だね」

「うん。 ねぇ〜、お姉ちゃんのバスはどれなの?」

「あのバスだよ」

・・・と指さすと

「良かったぁ〜、ありがとう」

・・・と、
その女の子はニッコリ笑うと、
一般車の駐車場の方に走っていきました。

何が良かったのかしら???

Kさんは不思議に思ったものの、
小さい子供のいうことなので気にも留めなかったそうです。

しかし、バスに戻ってみると、
先程の女の子が一番前の席にちょこんと座っているのです。

「ユカちゃん! どうしてここにいるの?」

「あっ、お姉ちゃん。 私、バスでお家に帰るの。」

「お家に帰るのって、パパとママは?」

ちょうどその時、ドライバーさんが戻って来て、

「どうしたんや?」

Kさん、振り向きながらドライバーさんに

「あっ、ちょうど良かった。 この女の子なんですけど・・・」

「どの子?」

「えっ?」

そこには誰も座っていなかったそうです。

「そ、それじゃ〜、今のは・・・」

Kさんは背筋が寒くなったそうです。