「手を振る女の子」


ドライバーのKさんからお聞きした話です。

今年の夏、3泊4日のバス旅行でのことです。

旅行1日目のホテル、通されたのは2階の乗務員部屋。

荷物を置いて、窓から外を見ると、
中庭で5才位の髪の長い女の子がこっちを見て手を振っています。
普段着っぽい恰好をしているので

「従業員の子かな?」

・・と思いつつ、同じように手を振り返したんです。
女の子は嬉しそうな笑顔でKさんに応えると、駆け去っていきました。

翌日、
2泊目は他館先の民宿の2階の部屋。
夕食後、部屋に戻って窓を開け

「ひんやりとしたいい風だ」

ふと見ると、
昨日の女の子とそっくりな感じの女の子が手を振っています。

「えっ? 昨日の子? ま、まさかね・・・」

Kさんは、少し気味悪かったのですが、手を振り返したそうです。
すると、女の子はそのままスゥ〜っと消えていったというのです。

そしても3泊目
この日の部屋は、ホテルの5階の乗務員室。

Kさんは昨夜の事もあるので、

「カーテンを閉めておこうか」

・・・と思い窓に近づいたんです。

その瞬間、

「うわぁーーー!!」

あの女の子が窓の外に現れ、満面の笑顔で手を振っていたのです。

ここは5階・・・窓の外に立てるわけがありません。

「た、助けてくれ〜!」

Kさんは恐怖のあまり部屋を飛び出したて・・・・


「大丈夫ですか!」

Kさんが気がつくと、ホテルの従業員の心配そうな顔がありました。

「よかった、今、救急車を呼んでいますからね」

「わ、私は・・・いったい?」

「慌てて部屋を飛び出した勢いで、
 廊下の壁に頭をぶつけて失神されたんです。
 あっ、動かないで下さい。 頭を強く打っていたら大変ですから・・・」

「そ、そうですか。ありがとうございます。」

「いえ、お礼を言うなら、知らせに来てくれたあの女の子に・・・
 あれ? さっきまで、そこにいたのに・・・どこに行ったのかな?」

「その女の子って・・・」

「えぇ〜、5才位で髪の長い女の子ですよ」


その女の子、
一体どういう理由で3日も続けてKさんの前に現れたのでしょうか?

助けを呼んでくれたという事は恨みではないと思うのですが・・・

Kさんの話では

「その子に心辺りはないし、結局、それっきなんだよ。
 ただ、昔、どこかで会った様な気もするんだよね。
 でも、思い出そうとすると、頭が痛くなってしまうんだよね。」