「愛犬」

いつも町内旅行でお世話になっている
自治会の会長さんの家に起こった不思議な出来事です。

会長さんの家、ポンタという柴犬を飼っておられたんですね。
ポンタはとっても賢くて、家族中で可愛がっておられたそうです。
そのポンタが3年前に亡くなったんです。

幼稚園児のお孫さん(女の子)の悲しみようた大変なもので

「ポンタのお墓、お庭に作るの」

・・・と言って、庭の片隅にお墓を作って埋めたそうです。


それから一年ほどして、新しい犬を飼う事にしたのですが、
その犬は、一日中怯えた様子で、家族の後ろにスグ隠れたり、
狂ったように吠えたり

で、一週間後、
ポンタのお墓の前で死んでいるところが見つかったそうです。

犬にこんな表情が出来るのかというほど、
歪んだ醜い顔で死んでいたそうです。

ご家族は

「ポンタが怒ったのかな」

・・・と考え、それ以降、犬は飼わないことにしたそうなのですが、
猫を飼っても、小鳥を飼っても、
一週間後には、ポンタのお墓の前で死んでいたのです。

会長も、
いくらなんでも異常だという事で、近くのお寺のご住職に相談。

すると、
総本山から徳の高いというか、
そういうお力を持ったお坊様が来られたそうです。

そのお坊様が仰るには、
ポンタの霊が悪霊化しつつあって、
お孫さんに纏わりついているというのです。

このまま放置しておくと、
ペットだけでなく、お孫さんの近くにいる人、
お孫さんが好意を寄せる人の全てに災いを及ぼすというのです。

「結婚どころか、恋人や親友さえつくる事が出来ませんよ。
 最後にはご家族にまで牙をむけるかもしれません」    

・・・と。

お坊様は、
「改めて、もう一度参ります」と仰って、その日はお帰りになられ
1週間後、5人のお坊様を伴って来られたそうです。

お坊様は、お孫さんをポンタのお墓の前に座らせると、
6人で一斉にお経を唱え始めたそうです。

お孫さんは
お坊様達の鬼気迫る雰囲気に、ビックリして泣きだしたのですが、
お坊様達は、かまわずお経を唱え続けたそうです。

すると、お孫さんが急に四つん這いになり、犬が威嚇をするような

「うぅ〜ぅ、うぅ〜ぅ」

・・・という唸り声をあげたかと思うと、

「ぐわぁ〜ん」

・・・と叫び、お坊様達に飛びかかろうとしたんです。

で、
次の瞬間、

ぱたっ

・・・と倒れ気をうしなったそうです。

お坊様方は、お経を唱え終わると、
気を失ったままのお孫さんのおでこに、
墨のようなもので梵字を書くと、

「自然に消えるまで、拭いたりしないでくださいね。」

・・・と告げ、

ポンタの墓を掘り起こし、
ポンタの骨を全て木箱に入れ、お札で封印し持って帰ったそうです。

お孫さんのおでこの梵字は、二日後の朝に、突然消えたそうです。


今、会長のお宅には、二代目のポンタが元気に暮らしてます。
柴犬ではなくチワワですけど。