「扉を叩く者」
滋賀県 湖畔のホテル

知合いの女性添乗員さん(他社の方)から聞いた話です。

彼女が
神戸のある高校の学習合宿に添乗した際、
ある女生達徒の身に起きた恐怖体験だそうです。

その宿泊施設は、
元々研修用として建てられたものなので、
客室にバス・トイレはなく、大浴場・共同トイレを使うようになっていました。

夜・・・12時過ぎ・・

Aさんと同室の友人3人は、
テレビドラマの話で盛り上がっていたそうです。

「ねぇ、私、トイレ・・・ついて来て」

「うん、いいよ」

A紀さんに頼まれて、友人3人はトイレに行ったそうです。

深夜ということもあって5つの個室は全て空いていて、
Aさんは、一番奥に入りました。

3人はトイレの入口近くで立話を始めたそうです。


Aさんが個室に入っていると

トン
トン、トン
トン、トン、トン

扉を叩く音が・・
あれ、他の個室も空いてるのに?

トン
トン、トン
トン、トン、トン

「もう、あんた達!子供みたいなことしないでよぉ〜!」

トン
トン、トン
トン、トン、トン

・・・違う、あの子達はこんなイヤガラセしない 誰?、誰なの?

ダン
ダン、ダン
ダン、ダン、ダン

「助けてぇ〜 変な奴がいる! 助けに来てぇ〜!」

ダン
ダン、ダン

Aさんの悲鳴に
3人はAさんの入った個室の前に・・

「Aちゃん!、Aちゃん! どうしたの?」

その声に扉を叩く音が止まり、

Aさんがホッとした次の瞬間、
扉の下の隙間から血だらけの手が、

ズッズッズゥ〜

・・・と入ってきたのです。

「てっ、手が・・・イヤァー!」

「Aちゃん!、Aちゃん! どうしたの?」

「イヤァー!!」


Aさん達の悲鳴を聞きつけてやって来た先生方が、
鍵のかかった個室をこじ開けてAさんを助け出したのですが・・・

3人の話では
トイレの入口近くで立話してた時も、個室の前に来たときも、

戸を叩く音なんか聞こえなかったし・・・、
トイレには自分たち以外誰もいなかった・・・というのです。