「窓の外」
中部地方の某高原ホテル


ちょくちょく仕事でご一緒させて頂く、
ドライバーさんとガイドさんにお聞きした話です。

昨年の初夏、
中部地方の某高原ホテルに行った時のことです。

その日、
彼が通されたのは、3階にある乗務員部屋。

こじんまりした和室で、
乗務員部屋にしては清潔で設備も整った
感じの良い部屋だったそうです。

高原のホテルという事もあって、
夜になると、エアコンの必要がないほど涼しく、
彼は窓を開けて、床に就いたそうです。

「うっ、寒む〜」

涼しいからと窓を開けて寝たのですが、
深夜には、涼しいどころか寒くなってきて、
彼は思わず目を覚ましたそうです。

「おぉ〜、さすが高原ホテル、窓開けてたら、風邪ひいちゃうよ」

彼は苦笑いしながら、床から起き上がり
窓を閉めに行きました。

「あ・・あれっ? 閉まらない?」

調べてみると、
庭の大きな木の枝の一本が窓枠に引っかかっています。

「あっ、なるほど・・・」

「よいしょっと」

彼が枝を外そうとして、窓から少し身を乗り出した、
その時!

何かが彼の腕を掴んだのです。

「えっ?!」

見ると、
彼の腕に上半身だけの若い女性がぶら下がっています。

「は、離せ、離せぇーー!!」

しかし、
彼は、女性の重みに耐えられず、そのまま地面に落下。

「うわぁーー」


隣室にいたガイドさんが、
彼の悲鳴と物音に驚いて飛び起き、窓を開け、

「きゃーー!!」  

なんと、地面の上で、
上半身だけの女性が彼の腕にしがみついていたのです。


上半身だけの女性は、
ガイドさんに気づくと、彼女の顔を見上げて

「ニヤッ」

・・・と笑い、
そのまま消えてしまったそうです。


そして、
救急車に乗り込む彼の腕には、
軽い火傷のように女性の手形が付いていたそうです。