「出して!」
秋田県 某温泉


地元のドライバーさんに伺った話です。

その日、
彼が通された部屋は
乗務員専用の部屋ではなく一般の客室。
それも、
1人で泊まるには広すぎる和室だったそうです。(4〜5人部屋?)

「おぉ、これはスゴイな! 今夜はゆっくり休めそうだ」

しかし、
いつも寝つきのいい彼が、
この日に限ってはなかなか眠れなかったんです。

誰かの視線を感じるんです。
部屋には彼一人しかいないにもかかわらず、
誰かが彼を見ている気配がするんです。

何ともいえない居心地の悪さに
何度も何度も寝返りをうっていたのですが、
そのうち、昼間の疲れも手伝ってか、
ウトウトし始めた、その時!

「出して・・ここから出して」

・・・という
子供の声が聞こえてきたのです。

彼は起き上がり部屋の電気をつけました。
でも、
誰もいるわけがありません。

「気のせいか・・・?!」

彼は電気を消し、再び布団の中に戻ると、
そのまま寝てしまいました。

その夜、
彼は夢を見たそうです。

押入れの中から、襖を少しだけ開いて
部屋の様子を覗く男の子の夢。

男の子が彼に訴えるんです。

「出して・・・おじさん、僕をここから出して・・お願い」

翌朝、
夢の内容が気になった彼は、
目が覚めるとスグに押入れを開けたそうです。

押入れの中は天井まで布団が積まれてたので、
彼は布団を半分ほどを押入れから下ろし、
押入れの中に入っていったそうです。

そして押入れの奥で
布団に押し潰されるかのように転がる位牌を見つけたんです。

享年4歳・・・男の子の位牌。

この位牌については、ホテル側も全くの心当たりがなく、
結局、近くのお寺に預けられる事になったそうです。