「押入れ」
宮城県N温泉郷


婦人会の旅行会で、お客様に伺った話
今から20年近く昔の話だそうです。

そのお客様(奥様)が30才の年末年始
高校時代の同級生3人と宮城県のある温泉旅館に来たそうです。
他の友人たちは早々と結婚して子供もいるのに、
彼女達3人は未だ独身。
当時では行き遅れの部類だったんですって。
(私・・・現代人で良かったぁ)

・・・で、
クリスマスもお正月も誰も相手してくれないというので
女3人の旅になったんだそうです。

のんびり温泉につかって、
美味しい食事を頂いて、部屋でくつろいでいると、
押入れの襖がガタガタと・・・

「風かしら?」

・・・と、
窓を確認したのですが、窓はちゃんと閉まってます。

「おかしいわねー?」

でも、
しばらくすると、

ガタガタ・・・

「ちょっと・・何かいるんじゃない」
「ねずみ・・?」

で、
襖を開けてみたのですが、何もいません。

なのに、
襖を閉めて、しばらくすると

ガタガタ・・・

もう一度、襖を開けて確認

「やっぱり、何もいないわね。」
「ちょっと、気持ち悪いわね」
「うん・・・」

そう話しながら、襖を閉めると、また

ガタガタ・・・

今度は・・・と、
そぉ〜っと、そぉ〜っと、襖に近づいて、
一気に襖を、

バタァーン!!

すると
子連れ狼の大五郎みたいな5才位の男の子が
体育の三角座りをしていたんです。

「イヤー!!」

彼女達3人は悲鳴を上げ、押入れと反対の壁際に逃げました。

すると
男の子が押入れから出てきて、
彼女達の目の前で、
楽しそうにスキップをしながら部屋の中を3回ほど回ると
彼女達の前で立ち止まり、ニコッと微笑むとスゥーと消えたのです。

彼女達は
スグにフロントに電話して事情を話して部屋を代えてもらったそうです。

そして、
旅行から帰った彼女達・・・

なんと、
1月中には全員に彼氏が出来て、
年内には全員結婚してしまったんですって。
3人共それまでほとんど男性と交際した事がなかったにもかかわらず

後になって、
あれは良縁を呼ぶ座敷童子だったのね・・と3人で感謝したそうです。

私も・・年末年始、
その旅館に泊まりに行こうかと・・・