「アノ声」
石川県W温
能登半島観光のの拠点としても人気の高い温泉です


今回の仕事は、
プライベートでも友人でもあるMちゃんがガイドについてくれました。
私、大事なお客様の時にはいつもMちゃんを指名するんです。

Mちゃんは、話もうまいし、お客様への対応も一級品、
何より、打合せするまでもなくお互いの考えと動きがわかるので、
お客様へのきめ細かなお世話が出来るんです。

おまけにお酒も強いから、仕事の後の乾杯も楽しみなんです。

・・・で、
今回もMちゃんの部屋で2人宴会をして、
自分の部屋に戻ったのは12時過ぎ。

少し飲み足りなくて、
冷蔵庫から缶ビールを取り出して飲み始めたんです。

20分程経った頃かな・・
隣のMちゃんの部屋から声が聞こえてきたんです。
 (乗務員専用部屋は安普請で壁が薄いのです)

「あれっ、Mちゃんも眠れなくてテレビでも見てるのかな??」

・・・と、
その声を、聞くとはなしに聞いていると
どうやら「アノ声」・・

「もう、Mちゃんたら、アダルトチャンネル見てんだぁ〜」

でも、何か様子が違うのです。
声だけじゃなくて、ヘッドのきしむ音がフロアに響くというか
壁越しにはっきりと「アノ」気配を感じるんです。
(ホントに壁が薄いので・・・)

「信じられへん、Mちゃん! スゴク激しい・・・相手は誰?」

「あぁ〜ん、こんなんじゃ寝られへぇ〜ん」

・・・で、翌朝、
Mちゃんをひやかしてやろうと思っていると、
Mちゃんが私の顔を見るなり、

「MoMoちゃん、夕べ激しかったわねぇ、
 あんまり声大きいから、寝られへんかったわぁ〜」

「何ゆうてんの? Hしてたん、Mちゃんやん」

「へっ?」

「はい?」

「まさか・・・ねぇ・・?」

帰りのバスで、
ドライバーにその話をするとこんな返事が返って来ました。

「あー、噂はホンマやってんなぁ〜」

彼の話によると
ここの乗務員室は元々6室並んでいたのですが、
その3室目に幽霊が出るということで、
その部屋をつぶし5室として作り直したそうなんです。

そして、
その部屋に出るというのが「性霊」・・・
若いドライバーや男性添乗員が泊まると現れていたとか・・

そう、
私とMちゃんの部屋の間に取り壊された部屋があったんです。