「ロッジ」
信州 某スキー場 大学ロッジ


会社の先輩の母校である某有名私立大学は、
信州のあるスキー場のゲレンデ内に学生用のロッジを持っています。

ゲレンデ内といっても、
リフト乗り場の近くという様な便利な場所ではなく、
何とも中途半端な場所・・・
上級コース(チャンピオンコース?)の中程にあるんです。

なので、
このロッジに行くには、
スキー(スノボー)を履き、荷物を担いだままリフトを乗り継いで、
一番上から滑ってロッジまで下りて行くんですね。
(面倒くさぁ〜い!)

運悪く、吹雪いてたりすると
上の方はリフトが止まっちゃうので、
途中からは荷物を担いで雪山登山する羽目になっちゃうんですね。

で、
この6時では、
2月のある日、吹雪夜、11時を少し過ぎた頃、
ロッジの玄関を叩く音がするんです。

ドン、ドン、ドン!

「遅くなってすみませ〜ん、
 今日、予約していた法学部2年のMです。
 吹雪で迷っちゃって・・・」

ドン、ドン、ドン!

「すいませ〜ん」

ドン、ドン、ドン!

実は、
今から30年以上前の2月のある日、
激しい吹雪の中で方向を見失ってしまった学生が
ロッジの近くで凍死しているんです。

それからというもの
2月のその日が吹雪になると、
決まって、ロッジの玄関を叩く音がするようになったんです。
ですから、
こういう日は、玄関の鍵を開けたままにしておくそうです。

ドン、ドン、ドン!

「遅くなってすみませ〜ん、
 今日、予約していた法学部2年のMです。
 吹雪で迷っちゃって・・・」

ガラ、ガラ、ガラ・・・(戸の開閉する音)

「あっ、ありがとうございます・・・お世話になります。」

ゴソ、ゴソ、ガサ、ガサ・・・(何かの物音)

物音が消え、
頃合いを計って、鍵をかけに玄関に行くと、
玄関に1m程の高さの雪の柱が立っているんだそうです。