「廊下に出るな」
Mの里


日本中のあちこちに「○○の里」と呼ばれる
宿泊施設を持った総合レジャーパークがありますよね。
江戸〜明治時代の街並みやを再現したり、
海外の有名都市をテーマにしていたり、
最近は自然と触れ合おう系アミューズメントも人気だったりします。

今回紹介する「○○の里」もそういった施設のひとつで、
敷地内に宿泊施設(ホテル)として
企業研修や学校の林間学校等向けの本館と
個人・ファミリー向けの別館とがあるんですが、
実はここ出るんです・・・本館に。

某有名家電メーカーでは毎春、
この「○○の里」に3泊〜4泊の研修に訪れるんですが、
この研修での絶対厳守事項は、なんと!

「12時以降は、何があっても廊下に出るな!!」

何と言いますか、そんな場所なのです。

今回の話は
一昨年の春の研修での出来事です。

その夜、
研修を担当していたAさんとNさんは、
研修スケジュールの変更の必要を感じ、
夜遅くまでその作業に追われていました。
で、何とか変更が終了して壁の掛け時計を見た時には
もう11時を回っていたそうです。

「あぁ〜、もう、こんな時間か。
 早く風呂に入って、12時には部屋に戻らないとな」
「そうそう、12時以降は廊下に出るな!・・・だからな」

AさんとNさんはそう話しながら大浴場に向かったそうです。

「ふぅ〜、今日も疲れな〜」
「ほんと、1日中研修じゃ身体もたないよな〜」
「若い連中も大変だけど、体力的には俺達のほうがきついよな〜」

・・・等と、
グチりながら湯船に浸かっていると
ふいに洗面器がコロコロコロと転がってきて
「ポチャン!」・・・と湯船に落ちたんです。

「???」

2人がキョトンとしていると、
また洗面器が転がってきて湯船に「ポチャン!」

「おい、今の??」
「あぁ、でも、まだ12時前・・」

すると、また
洗面器が転がってきて湯船に「ポチャン!」

次の瞬間、
浴場中の洗面器やイスが、ガタガタと音を発てて動き始め、
浴槽の周りをゆっくりと回り始めたんです。

「うわぁー!!」

2人は浴槽を飛び出すと
着替えもソコソコに一目散に部屋に飛んで帰ったそうです。

本館では、
こういったポルターガイスト現象以外にも
・包帯で顔をぐるぐる巻きにした髪の長い女
・煙のように漂う複数の人影
・廊下の天井を歩く血だらけの足・・・等の目撃談が後を絶たず、
これまでも忠告を聞かず、
12時以降に部屋を抜け出して
幽霊に追っかけ回された若い社員がかなりの数にのぼるんだとか。

ちなみに翌日、
AさんとNさんが、
研修室の時計を見ると11時過ぎで止まっていたそうです。