「陸橋」
中国自動車道


プライベートでも親友である
バスガイドのMちゃんの体験談です。

朝、9時過ぎ、
バスは中国自動車道を西へ走っていました。

道路交通法が改正直後だった事もあって、
Mちゃんは、ドライバーさんの横でシートベルトをして着席・・・
(高速道路ではガイドの立ったままの業務は原則禁止)

「この調子なら、予定より早く着いちゃいそうですね。」
「そうだな。トイレ休憩を増やしてもいいぞ。」

・・・なんて、
ドライバーさんと話をしていたところ、
前方に見える、高速道路を横切る陸橋(歩道付き)から
女性らしき影が、高速道路に向かって飛び降りたんです。

後続車があり、
スピードも結構出ているので、
急ブレーキは乗客にも大きな危険が及びます。

ドライバーそんが咄嗟に対応できずにいると、
バスの天井に

「ドォ〜ン!!」

・・・と、
何か大きなモノが落ちた(叩きつけられた)音・・・

「キャー!!」

バスは徐々にスピードを落とし路肩にバスを止めます。
すぐ後ろを走っていた乗用車とトララックも
飛び降りの瞬間を見たのか、バスに続いて路肩に止まったそうです。

ドライバーさんとMちゃんは、
急いでバスを降り落ちてきた女性を探します。

後続の乗用車、トラックのドライバーや
一部始終を目の当たりにしたバスのお客様方も降りて来て、
バスの天井、車体の下、歩道橋から停車場所までの道路近辺・・・と、
一緒になって女性の姿を探したそうです。

でも、
女性の姿はどこにもなく、
バスの天井にも何かが落ちた形跡は全くなかったそうです。

何とも言えない気分でバスに戻ろうとしたその時、
トラックのドライバーが陸橋指差し、大声をあげたんです。

「おい! アレ!!」

女性らしき影が、高速道路に向かって飛び降りたんです。