「しぃ〜っ・・・」
Y県 Y温泉 他館先の民宿にて


私達添乗員はお客様のお世話がありますので、
お客様と同じホテルに泊まりますが、
(但し、お客様とは比べ物にならない様な貧相な部屋)
ドライバーさんやガイドさん等の乗務員の方々は、
ホテルが満室だったりすると、
他のホテル、民宿に泊まることがあるんです。
これを私達は「他館」とか「放り出し」とか呼んでいるんです。

今回の話は、
私の友人でもあるガイドのMちゃんの
Y温泉の他館先の民宿での体験談です。

その日、
彼女が通されたのは10畳ほどの和室。
少しくたびれた感じはあるものの、
掃除は行き届いていて清潔感のある部屋だったそうです。

彼女は
夕食時に飲んだビールの酔いも手伝ってか、
早めに床に就いていたのですが、
深夜、
子供の話し声に目を覚ましたんです。
枕元の携帯を見ると、1時を少し回ってます。

「ちょっとぉ〜、何時だと思ってるの〜!
 ・・・って、どっから聞こえてくるのこの声? 隣の部屋? 廊下?」

彼女は
頭から布団をかぶって、眠りにつこうとしたのですが、
ますます声は大きくなってきて・・・
ついに
我慢出来なくなった彼女は
布団から上半身を起こして大声で怒鳴ったんです。

「うるさぁ〜い!」

次の瞬間、
彼女は凍り付いてしまったんです。

彼女の足元から少し離れたところに
4〜5才位の子供の影が3つ座っているんです。

「きゃぁー!」

彼女が思わず悲鳴を上げると
目の前に老婆が現れ、
(逆さまに空中に浮いた感じで、正座していたそうです。)

「し〜っ」 (口の前に人差し指を置いて)

彼女は、そのまま気絶してしまい
気がついた時には朝になっていたそうです。