「暖簾(のれん)」


今回の話は
会社の後輩のO島くんの体験談です。
     
深夜、2時を少しまわった頃
彼、トイレに行きたくなって目を覚ましたんです。

その日、
彼が通された乗務員部屋にはトイレがなかったので
一度部屋を出て、廊下の向こうのトイレまで行かなければいけません。

「こういう時、部屋にトイレ無いと不便だよな〜」

彼はブツブツ言いながら廊下に出てトイレへ・・・。

小用を済ませた彼が
部屋に戻ろうと廊下に出ようとしたその瞬間、
顔にバサッっと何か掛かったんです。

「あれ? トイレの入口にに暖簾あったっけ??」


顔に掛かったものを払いのけながら、何気なく上を見ると、
天井から髪の長い女が逆さまに・・・
そう、上半身だけが天井から出てる感じで、ぶら下がっていたんです。

「うわぁー!!」

彼が悲鳴をあげながら逃げ出すと
その女は天井から降りてきて、凄いスピードで追いかけてきたんです。 

「シャァー」or「ヒャァー」

・・・というような
何とも形容のしようがない奇声を発しながら!

彼は必死で走り、
追いつかれる寸前のところで部屋に逃げ込む事が出来たんですが、
一晩中、
その女はドアを叩き続けていたそうです。

「開けて、ねぇ、開けてちょうだい・・・」

四国の某老舗旅館での出来事です。