「開けて」
岐阜県 S温泉
S○○○ホテル 乗務員室

大手バス会社のドライバーさんの話。

夜中の2時過ぎ位だったといいます。

「ドン、ドン・・・・・・、ドン、ドン」

と窓を叩く大きな音に、彼は目を覚ましたそうです。
「風かな・・・・・・・・?」
そう思った次の瞬間、窓のすぐ外、窓越しに、

「開けてぇー、開けてくれぇー、熱いぃー、熱いぃー」

という声が聞こえた様な気がして、カーテンを開け、外を見ましたが、
誰もいないし、何もありません。
よく考えてみると、ここは三階なので、窓のすぐ外側で人の声がするはずがありません。

首をひねりながら床につくと・・・・、再び、

「早く、早く開けてくれぇー、助けてくれぇー」

と、今度は、はっきり聞こえたそうです。
スグに窓を開けて、外を見渡しましたが、やはり、誰もいない。

その時、真冬にもかかわらず、温かい風が、スゥーと部屋の中に入ってきたそうです。
その暖かい空気に触れた瞬間、急にのどが渇きだして、洗面所に走り、一気にコップ3杯もの水を飲んでしまったんだそうです。
水を飲み終わって、息をついた時、耳元で声が聞こえたそうです。

「ありがとう・・・・・・・・・・・。」

翌朝、
窓を開け、もう一度、外を見てみると、
慰霊碑と幾つかのお墓があったそうです。
後で判った事なんですが、
以前、この場所で大きな火事があり何人かの犠牲者が出てたんです。