「DJ.」

二年前、
結婚後初めての夏休み。
私達夫婦は、
帰省ラッシュを避けて夜中の東名高速を走っていました。

ラジオから流れるDJの話も面白く、
私達2人の会話も弾み、
快適な夜のドライブを楽しんでいました。
しかし、
さすがに深夜2時も過ぎてくると彼も疲れが出てきました。
眠気防止のためと私が話かけても
彼からの返事が少なくなってきました。
そのうち
私も、少し眠たくなって、ウトウトし始めたその時、

「彼女、寝ちゃダメだよー」

ラジオのDJの言葉に私は、ハッと飛び起きました。

「彼に話かけてあげなくちゃ、
 彼、俺みたいに事故っちゃうよ」

彼を見ると、
目が半分寝ています。

「あなた!!」

私達は車を退避場所で停め、仮眠をとったのです。

そして
仮眠中の夢の中に、さっきのDJが現れて・・・

「彼女、よかったね。」・・・・と。

後で聞いた話ですが、
あるFM局のDJが恋人の待つ郷里に帰る途中
この高速道路で居眠りが原因で事故死したそうです。
彼は、
自分達のように悲しい恋人達が出ない様に
今も仕事を続けているのでしょうか?